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軽犯罪法違反の弁護

こちらでは,軽犯罪法違反について解説しております。

軽犯罪法違反について

 軽犯罪法は,国民の日常生活の安全と秩序維持のため,一般的な道徳規範に違反する比較的軽微な犯罪とこれに対する処罰を定めた法律です。
 軽犯罪法は第1条第1号から第34号までの行為(第21号は削除)を処罰の対象としています。これらの行為は,刑法による処罰対象から漏れたものや放置していれば重大犯罪に発展するおそれがあるようなものがほとんどです。
 軽犯罪法違反の行為をした場合,拘留又は科料になりますが,拘留とは,1日以上30日未満の期間,刑事施設に拘束されることをいい,科料とは,1000円以上10000円未満の金銭を強制的に徴収する財産刑のことをいいます。
 以下では,どのような行為が処罰の対象とされているかご説明いたします。

軽犯罪法違反の対象行為

軽犯罪法

第1条 左の各号の一に該当する者は,これを拘留又は科料に処する。

以下では,どのような行為が対象となるか示します。

①潜伏(第1号)②凶器携帯(第2号)③侵入具携帯(第3号)④浮浪(第4号)⑤粗野・乱暴(第5号)⑥消燈(第6号)⑦水路交通妨害(第7号)⑧変事非協力(第8号)⑨火気乱用(第9号)⑩爆発物使用等(第10号)⑪危険物投注等(第11号)⑫危険動物解放等(第12号)⑬行列割込み等(第13号)⑭静穏妨害(第13号)⑮称号詐称・標章等窃用(第15号)⑯虚構申告(第16号)⑰氏名等不実申告(第17号)⑱要扶助者・死体等不申告(第18号)⑲変死現場等変更(第19号)⑳身体露出(第20号)㉑こじき(第22号)㉒窃視・のぞき(第23号)㉓儀式妨害(第24号)㉔水路流通妨害(第25号)㉕排せつ等(第26号)㉖汚廃物放棄(第27号)㉗追随等(第28号)㉘暴行等共謀(第29号)㉙動物使そう・驚奔(第30号)㉚業務妨害(第31号)㉛立入禁止場所等侵入(第32号)㉜はり札・標示物除去等(第33号)㉝虚偽広告(第34号) 

第2条 前条の罪を犯した者に対しては,情状に因り,その刑を免除し,又は拘留及
   び科料を併科することができる。

軽犯罪法違反事件の具体的な態様

 上記の【軽犯罪法違反について】のところで記載したとおり,軽犯罪法で定められている行為は,刑法による処罰対象から漏れてしまった行為や,将来重大犯罪に発展しうる行為を対象としています。
 例えば,刑法による処罰対象から漏れたものとして,①潜伏(第1号)があります。これは住居侵入罪(刑法第130条)にあたらないが,人が住んでいない又は看守していない邸宅等であっても,無断で潜むことが道徳規範に違反するとして,軽犯罪法上処罰対象となっています。
 次に,重大犯罪に発展するおそれがあるようなものをみていくと,㉗追随等(第28号)は,特定の人に反復継続して行うとストーカー規制法違反へと発展していくことになりえます。⑨火気乱用(第9号)も発展すれば,放火罪(刑法第108条以下)となりえますし,⑤粗野・乱暴(第5号),⑪危険物投注等(第11号)などは発展すると,目的や態様によって,暴行罪(刑法第203条)・傷害罪(同第204条)・器物損壊罪(同第261条)などが成立しえます。⑳身体露出(第20号)については,身体の露出が度を超えて「わいせつ行為」と評価されるに至ったときに,刑法上の公然わいせつ罪(刑法第174条)が成立しえます。盗撮事件などでは,迷惑行為防止条例違反に当たらない場合でも,㉒窃視・のぞき(第
23号)の罪が成立することがあります。
軽犯罪法違反の場合,それ以外に犯罪が成立していない場合には,逮捕・勾留される可能性はそれほど高くないですが,刑罰が刑法犯と比べて軽い拘留または科料となっているため,検察官が不起訴処分にせず,すぐに被疑者を科料にしてしまう場合があります。

軽犯罪法違反事件の弁護のポイント

 軽犯罪法違反は,刑法犯と比べて犯罪の悪質性が低いという特徴があります。そのため,弁護人は,被疑者の普段の生活態度,事件当時の状況,違法性の程度,事件の軽重,反省の態度等から,被疑者に有利な事情を集め,警察や検察に対して上記の事情をまとめた意見書を提出して,被疑者を不起訴処分にしてもらえるように弁護していきます。また,被害者がいる事件では,被害者と示談が成立していることが不起訴処分になるために必須のものとなることが多いため,弁護士が被害者と示談交渉をし,被害者と示談できるように迅速に動いていきます。
その他にも,盗撮(迷惑行為防止条例違反)住居侵入罪公然わいせつ罪等の嫌疑を受けて,逮捕・検挙されてしまった場合でも,事件の内容や性質上,これらの犯罪は成立せず,軽犯罪法違反にしかならないときには,弁護人がその旨を主張していき,被疑者の処分が少しでも軽くなるように弁護していきます。
 これら
の活動は,法的な知識がなければなかなかできませんので,在宅事件であっても,弁護士を付けて対応した方が最終的な処分にいい影響を与えるでしょう。

示談について詳しく知るにはこちら

軽犯罪法違反事件の解決実績

軽犯罪法違反事件の解決実績

 被疑者が被害女性を車で尾行するなどした付きまとい行為により軽犯罪法違反(軽犯罪法第1条第28号,追随等の罪)で逮捕された事案において,被害女性と示談は成立しなかったものの,しょく罪寄附を行うなどして,被疑者の反省を伝えていった結果,検察官は被疑者を不起訴処分(起訴猶予)としました。
 被疑者が公務員であったことから,懲戒解雇処分なども予想されましたが,弁護士が勤務先に対して意見書を提出した結果,被疑者への処分は戒告処分にとどまり,被疑者は職場に復帰することができました。

軽犯罪法違反事件の解決実績

 被疑者がテーマパーク内で女性とわいせつな行為をしているところを目撃され,公然わいせつ被疑事件(6月以上の懲役もしくは30万円以下の罰金)として検挙された事件において,弁護士が担当警察官に対して軽犯罪法違反(身体露出の罪,1日以上30日未満の拘置または1000円以上1万円未満の科料)しか成立しないことを主張した結果,検察庁への送致罪名が公然わいせつ罪より軽い軽犯罪法違反となりました。
 その後,弁護士が目撃者と示談交渉を行ったことなどを書面にして,検察官に対し,意見書で不起訴処分を求めたところ,最終的に,検察官は被疑者を不起訴処分(起訴猶予)にしました。
 この事件では,被疑者が国家資格を有しており,不起訴処分にならなければ,その資格が取り消される可能性がありましたが,不起訴処分となったため,資格が取り消されることはありませんでした。また,被疑者の職場に連絡がいくこともありませんでした。

軽犯罪法違反事件の解決実績

 被疑者が自分の車の中に十徳ナイフを所持していたとして,警察に軽犯罪法違反で検挙された事案。
 弁護士(
弁護人)が,被疑者から事情を詳しく聞いたところ,被疑者は他人を傷付ける目的で十徳ナイフを所持していたわけではなく,ドライブや旅行中に自分で料理をする際などに十徳ナイフを使用する目的で所持をしていたということでした。そこで,弁護士は,聴取後,検察官に提出する意見書の作成に取り掛かり,被疑者がナイフを所持していた経緯や事情を詳細に説明した上で,被疑者が真摯に反省していることや被疑者が本件を機に軽犯罪法の趣旨を理解し,再犯しないように誓っていることなどをまとめました。
 軽犯罪法違反は,事件が検察庁に送致された後,検察官がすぐに科料等の処分を下してしまう可能性があるため,弁護人は担当検察官が決まった当日に検察庁に意見書を提出しました。その結果,
検察官は,弁護人作成の意見書を読み,それを考慮した上で,被疑者を不起訴処分としたため,被疑者には前科がつかずに事件は終了しました。

刑事事件の弁護を依頼するなら,刑事事件に強い弁護士に相談を!

 自分や家族が刑事事件に巻き込まれた際に,「どんな弁護士に相談・依頼するか」ということは,非常に頭を悩ませる問題だと思います。
 刑事事件は,民事事件と異なる部分が多く,手続も異なるため,普段から刑事事件を取り扱っていない弁護士に相談・依頼するのはリスクがあるでしょう。そのため,刑事事件に関して相談・依頼する際には,刑事弁護の経験が豊富な弁護士,刑事事件に強い弁護士を弁護人に付けることをお勧めします。
 刑事弁護の経験が豊富にある刑事事件に強い弁護士に相談すれば,早い段階で弁護方針が固まり,その先のやるべきことが見えてきます。そうすることによって,安心感が得られ,適切な行動が取れるようになります。そして,警察・検察の処分や裁判所の判決などを有利な方向に導く可能性が上がることになります(逮捕の回避,勾留の阻止,保釈許可,不起訴処分,執行猶予判決など)。
 渋谷青山刑事法律事務所は,刑事事件の弁護に特化した弁護士事務所であり,刑事事件の相談実績,解決実績が豊富にあります。刑事事件に巻き込まれた場合には,ぜひ渋谷青山刑事法律事務所に御相談ください。

二宮英人-代表弁護士

代表弁護士:二宮 英人
(東京弁護士会所属)

弁護士登録をして以降,刑事事件・少年事件を専門分野として活動しており,これまでに数百件の刑事事件・少年事件を取り扱っている。刑事事件での無罪判決や少年事件での非行事実なし不処分決定など,刑事事件・少年事件共に多くの解決実績を有する。
また,後進指導の一環として,中央大学法科大学院で実務講師を務めており,刑事模擬裁判の授業を担当している。

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 こちらのページは,軽犯罪法違反の弁護に関するページです。

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二宮英人-代表弁護士

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メディア掲載実績・
講演実績

2024年6月24日

二宮英人弁護士が漫画「ハジメテノサツジン」で,法律監修を行ないました。

2024年5月29日

有原大介弁護士が「日刊SPA!」で,不同意性交等罪についてコメント・解説をしました。

2023年10月26日

二宮英人弁護士がABEMATVの番組で,未成年の性犯罪についてコメント・解説をしました。