刑事事件に強い弁護士事務所 弁護士法人 渋谷青山刑事法律事務所(東京都渋谷区)
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このページでは,取調べ(事情聴取)について解説いたします。
取調べとは,事件に関することについて,対象者から供述を求める行為をいいます。似たような言葉として,事情聴取という言葉もありますが,捜査機関が身体拘束をされている被疑者や被告人から事情を聞く時は,一般的に取調べという言葉を使います。
刑事事件の被疑者になった場合,まず警察の取調べが行われます。ここで,被疑者は自分の事件に対する認識を警察に話し,様々な主張・弁解を行うことになります。そして,その話した内容を警察官が供述調書という書面に書き起こします。
捜査において,被疑者の取調べは非常に重視されています。そのため,取調べの結果として作成される供述調書は証拠として非常に価値の高いものとなります。このように,供述調書の証拠としての重要性が高い結果,被疑者が取調べでミスをすると,被疑者にとって思いがけない不利益を被る可能性があります。供述調書に一度署名押印してしまうと,原則として,後から内容を訂正することができませんので,警察から被疑者として扱われて,取調べに呼ばれた場合には,その前に弁護士と相談した方がいいでしょう。
なお,警察の取調べ(事情聴取)の中には,被疑者以外の人間を対象として行う場合もあります。例えば,刑事事件の被害者や目撃者に対する取調べです。ただ,このページにおいては,被疑者・被告人に対する捜査機関の取調べを念頭において解説していきます。
刑事ドラマなどで,警察の取調べのシーンがよく出てきますが,実際の取調べとは異なる点もあります。ここでは,実際の警察署における取調べについて解説していきます。
①取調室について
取調べが行われる取調室は,刑事ドラマに出てくるような狭い部屋で行われることが一般的です。警察官1,2人が被疑者と取調室に入り,話を聞いていきます。基本的に,弁護士(弁護人)が一緒に取調室に入ることは認められません。
②取調べ時間について
取調べ時間については,事件の内容や取調べを行うタイミングなどによって様々です。30分程度で終わる場合もあれば,何時間もかかることもあります。ただ,長時間の取調べは,人権侵害を理由に違法な取調べになってしまう可能性がありますので,2・3時間に1回は休憩が入ることが多いです。また,深夜の取調べも違法になる可能性がありますので,逮捕・勾留されている被疑者が深夜に取調べされることは基本的にありません。
警察における万引き事件の取調べでは,一般的に被疑者は2時間程度拘束されます。その間に,被疑者から話を聞き,供述調書を作成する形になります。
③外部との連絡について
被疑者が逮捕・勾留されている場合には,取調べの際に被疑者が外部と連絡することはできません。被疑者が取調べに関することを相談するためには,弁護士(弁護人)が警察署に接見に来た時に,弁護士に相談するしかありません。
被疑者が身体拘束されていない場合であっても,取調べの際に弁護士が同席することは現実的に困難です。ただ,身体拘束されているわけではないので,被疑者が携帯電話を警察署に持参して,気になることがあった際には弁護士に電話で相談することなどは可能です。
④取調べの際の警察官の態度について
刑事ドラマなどでは,取調べの際に,警察官が被疑者の頭を掴んで机に押し付けたり,被疑者が座っている椅子を思い切り蹴ったりする場面が出てきます。ただ,これはフィクションの世界の話であり,現実にはこのような形で取調べがなされることは基本的にありません。このような取調べをしてしまったら,違法な取調べとなって,その後に証拠が意味をなさなくなってしまうので,警察官もこのような乱暴なことはしません。ただ,暴力は使わなかったとしても,威圧的な空気感を出して,被疑者にプレッシャーをかけてくることはあります。また,被疑者を油断させて,事件に関することをいろいろ話させようとしてくることもあります。
供述調書とは,取調べにおいて被疑者から聞いた内容を書面にしたもので,警察官や検察官が作成します。取調べでは,まず警察官や検察官が被疑者から話を聞きますが,ここで話した内容がそのまま証拠になるわけではありません。最近は,取調べの様子が録音・録画されることが増えていますが,それでもこの録音・録画したものが供述内容を示す証拠としてそのまま扱われるわけではありません。取調べにおいて,被疑者がどんな供述をしたかということについては基本的に供述調書が証拠となります。
このように,供述調書は非常に重要な役割を持っていますので,署名・押印をする前にしっかり内容をチェックする必要があります。サッと確認するだけで重要な点を読み飛ばしてしまえば,後で後悔することになってしまいます。一度作成された供述調書を後になって訂正することはできませんし,後々の取調べで前の供述調書の内容と違う話をしても被疑者の話の説得力がなくなってしまうおそれがあります。そのため,供述調書で何が書かれているかについてはしっかり確認することが重要です。
特に,警察で作成される一番最初の供述調書(弁解録取書ともいう)や検察官が作成する供述調書は重要な意味を持つ場合が多いので,注意が必要です。
黙秘権について
これまで見てきたように,取調べにおいては対応を誤ってしまうと,後から取り返しがつかなくなってしまうこともあります。警察から呼ばれて,あまり深く考えずに警察署に出向いて話をしてしまい,その場でいきなり逮捕されてしまうなんてこともありえます。そのため,警察から連絡があり,取調べを受けることになったら,その前に専門家である弁護士に相談することをお勧めします。弁護士に相談することによって,自分の置かれた状況も正確に理解できるようになりますし,これから自分が何をしなければいけないのかということも認識できるようになります。
事案によっては,すぐに弁護士を弁護人に付けて対応した方がいい場合もあります。その場合には,弁護士を弁護人に選任して,取調べの前に警察や検察に対応してもらうようにしましょう。現実として,弁護人が付いた方が警察や検察の取調べが厳しくなくなる傾向にあります。また,弁護人が付いていることによって,被疑者の身体拘束がされにくくなるという効果もあります。
渋谷青山刑事法律事務所で扱ったケースでも,被疑者が警察の取調べの前に弁護士を弁護人に選任したことで,結果的に不起訴処分になったケースがあります。このケースに関しても,早い段階で弁護人を付けていなければ,実際とは違った結果になっていたかもしれませんので,早めの相談を心掛けていただければと思います。
被疑者が被疑者の経営する会社の倉庫に薬機法で指定されている違法な薬物が含まれている製品を所持していたとして医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律違反で警察に検挙された事件において,本件が検察庁に送致される前の段階で,弁護士が弁護人として付きました。被疑者から事情を聞いたところ,被疑者には違法な薬物が含まれているとの認識(故意)がないことが判明し,客観的にもそのことを示せると弁護士は考えました。そのため,弁護士は,被疑者に対して捜査機関の取調べにおいて一貫した主張をするようにアドバイスしたうえで,重要なポイントを教授しました。
また,事件が東京地方検察庁に送検されてからは,被疑者の主張を法的にまとめた不起訴処分を求める意見書を弁護士が作成し,検察官に提出しました。その結果,検察官(東京地方検察庁)はこちらの主張を認め,最終的に被疑者は嫌疑不十分による不起訴処分(被疑者が罪を犯したとする証拠が不十分であるとして、検察官が被疑者を起訴しない処分)となりました。
被疑者が共犯者と共に被害者宅に侵入し金銭を奪ったとされる住居侵入,強盗致傷被疑事件で,被疑者は逮捕・勾留されることになりました。この事件では,被疑者が無実を主張していたため,弁護士はすぐに被疑者の拘束されている警察署に接見に行き,被疑者に自己の主張をしっかりと警察官,検察官に話すように指導し,取調べにおける注意事項などをアドバイスしていきました。
また,弁護士が弁護人として付いてからは,弁護士が共犯者供述やその他の人間の供述を収集して,被疑者の供述の裏付けを取り,それを基に検察官宛に嫌疑不十分による不起訴処分を求める意見書を提出していきました。その結果,勾留期間満期前に,被疑者は釈放されることになりました。
その後,検察官(さいたま地方検察庁)は,共犯者に対する捜査を経て,被疑者に犯罪が成立しないとして,被疑者を不起訴処分とし,被疑者の無実が証明されました。
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