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暴行罪・傷害罪の弁護

こちらでは,暴行罪・傷害罪について解説しております。

暴行罪・傷害罪について

 暴行罪でいう暴行とは,人の身体に対して不法な有形力を行使することをいいます。この暴行の結果,人の生理的機能に障害が生じた場合,傷害罪が成立します。ただ,傷害罪は,傷害の結果が暴行によらなくても,人の生理的機能に障害を与えていれば成立しますので,無形的方法(大音量でテレビやラジオを流し続ける,無言電話を鳴らし続けるなど)や不作為(医師等の義務ある物がわざと病人に薬を与えないことなど)でも傷害罪が成立することがあります。また,被害者が肉体的な怪我を負っていなくても,めまいや嘔吐,失神,PTSD(心的外傷後ストレス障害)などになれば,傷害罪が成立します。ちなみに,暴行罪については,刑法第208条で,傷害罪については,刑法第204条で規定されています
 傷害事件において,傷害を負わせただけでなく、被害者が死亡してしまった場合には(殺意がなかった場合),より重い傷害致死罪となり(刑法第205条)、裁判員裁判対象事件となります。なお,殺意があって被害者を傷つけ,結果的に被害者が死に至らなかった場合には,殺人未遂罪が成立します。

 この他にも,暴行罪・傷害罪に関連する犯罪として,2人以上の者が他人の生命,身体または財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合に成立する凶器準備集合・結集罪(刑法第208条の2)や傷害罪・傷害致死罪の犯罪が行われる現場においてその勢いを助けた者に成立する現場助勢罪(刑法第206条)などがあります。
 また,過失によって他人に怪我を負わせてしまった場合には,過失傷害罪が成立します(刑法第209条第1項,過失傷害罪の場合には被害者の告訴が必要)。

刑法第204条(傷害)

 人の身体を傷害した者は,十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法第205条(傷害致死)

 身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,三年以上の有期懲役に処する。

刑法第208条(暴行)

 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法第208条の2(凶器準備集合及び結集)

1 2人以上の者が他人の生命,身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合
 した場合において,凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者
 は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

2 前項の場合において,凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合
 させた者は,3年以下の懲役に処する。 

刑法第206条(現場助勢)

 前2条(傷害,傷害致死)の犯罪が行われるに当たり,現場において勢いを助けた者は,自ら人を傷害しなくても,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第209条(過失傷害)

1 過失により人を傷害した者は,30万円以下の罰金又は科料に処する。

2 前項の罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。

 業務中の過失で他人に怪我を負わせた場合には,業務上過失致傷罪,過失の程度が重い場合には,重過失致傷罪になります(刑法第211条,5年以下の懲役若しくは禁錮,又は100万円以下の罰金)。

<暴行・傷害事件に関する法定刑>

犯罪の種類

法定刑

暴行罪

2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金,
または拘留もしくは科料

傷害罪

15年以下の懲役または50万円以下の罰金
傷害致死罪3年以上の有期懲役
過失傷害罪30万円以下の罰金または科料
業務上過失致傷罪5年以下の懲役もしくは禁錮,
または100万円以下の罰金
凶器準備集合・結集罪(集合罪)2年以下の懲役または30万円以下の罰金
(結集罪)3年以下の懲役
現場助勢罪

1年以下の懲役または10万円以下の罰金

もしくは科料

暴行・傷害事件の具体的な態様

 暴行罪や傷害罪は,ちょっとしたトラブルから刑事事件に発展するため,弁護士への相談も多い犯罪です。

<暴行罪の具体的態様>
 まず暴行罪についてですが,暴行罪は傷害罪よりも刑罰が軽くなっています(2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金,又は拘留・科料)。ただ,相手の胸ぐらをつかむ行為や相手を突き飛ばす行為だけでも犯罪が成立してしまいますので,自分では犯罪のつもりがなくても,いきなり警察の捜査を受けてしまうことがあります。
 よくあるケースでは,満員電車でトラブルとなり,相手を捕まえようとしたり,相手を突き飛ばしたりして,暴行罪で事件化されてしまうというケースがあります。また,痴漢や強制わいせつ罪に至らない程度のレベルで,女性の体に触ってしまった場合にも暴行罪が成立します。相手に暴行を加えるというケースは,被害者がどんな相手であったかということでも成立する犯罪が変わってくる類型でもあり,例えば,酔っ払って警察官に暴行を加えてしまうと,暴行罪の他に公務執行妨害罪が成立する場合があります。
 暴行罪については,明確な被害者がいますので,暴行罪で捜査を受けている被疑者が被害弁償などを一切しないで,漫然と検察官の処分を待っていると,最終的に略式罰金処分になってしまう可能性があります。また,交際相手とのトラブルなどが暴行罪という形で事件化された場合などには,初犯であっても公判請求(起訴)される可能性が十分あります。

<傷害罪の具体的態様>
 傷害罪についていえば,成人の場合,飲酒の上でのトラブルや満員電車内でのトラブルなどから,相手方に怪我を負わせてしまうというケースが多いように感じます。相手の怪我がそれほど大きくない場合であっても,医師が診断書を書いてくれる程度の生理的障害があれば,暴行罪ではなく傷害罪となってしまいます。傷害罪については,相手に怪我を負わせようと思って攻撃することが要件となっていないので,軽い気持ちで相手に暴行したところ,結果的に相手が怪我を負ってしまった場合,傷害罪が成立してしまいます。また,相手に傷害があるか否かは,一般的に医師の診断書によって判断されますので,自分が相手を殴ってしまい,相手方から怪我を負ったとして診断書が提出されれば,暴行罪ではなく傷害罪として捜査を受けることになります。
 傷害罪は,法定刑の幅が広く(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、罰金刑で済むものから,懲役刑になるものまであります。これは,一般的に加害者の行為態様や被害者の怪我の程度,共犯者の有無などによって変わってきます。傷害罪の初犯で,相手の怪我の程度も日常生活に支障がない程度であれば,被害者との示談が成立しなくても,略式罰金で済む場合もありますが,被害者が骨折などの重い怪我をしている場合には,被害者との示談が成立しなければ,公判請求(起訴)される可能性が高まってしまいます。また,被害者の怪我の程度が非常に重い場合(被害者が植物人間状態になった場合や身体の一部を失うことになった場合など)には,初犯でも懲役刑(刑務所収容)になることがあります。

暴行・傷害事件の弁護のポイント

<犯罪事実を認めている場合(自白事件)>

 暴行罪や傷害罪の場合,加害者の行為態様が悪質ではなく,被害者の怪我の程度が軽微であれば,逮捕にまでは至らないケースも多くありますが,路上などで見ず知らずの人に対して暴行を加えた場合や男女関係のもつれから暴行を加えた場合などには,警察に逮捕される可能性が高くなります。もっとも,暴行罪・傷害罪の場合,逮捕されたとしても,弁護士が弁護人として付いて,検察官や裁判官に意見書を提出すれば,勾留がつかずに釈放されるケースも多いので,早い段階で弁護士をつけて対応することが望ましいです。
 暴行罪や傷害罪の場合,被害者に身体的なダメージを与えており,被害者に病院での治療費や精神的苦痛などがかかっているため,被害者に対する被害弁償が必須であり,被害者と示談できるかどうかが重要になってきます。そして,被害者との示談ができれば,不起訴処分(起訴猶予)になる可能性が高くなりますが,被害者としては加害者である被疑者と直接会うことはまず望みませんので,弁護士を通して,被害者と示談交渉をしていくことになります。弁護士は,警察官,検察官に対して,被害者の連絡先を教示するように要請していきます。被害者と示談交渉できて,被害者と示談が成立すれば,被疑者が逮捕・勾留されていても,すぐに被疑者が釈放されることになりますので,被疑者の早期釈放という意味でも,被害者との示談は早急に行うべきです。また,もし暴行罪・傷害罪で起訴されてしまったとしても,被害者と示談できているかどうかは,執行猶予判決をもらえるかどうかに大きく関わってきますので,起訴後であっても積極的に示談交渉を行った方がいいでしょう(なお,弁護士を通しても,被害者との示談交渉が難しい場合には,しょく罪寄附や供託を行っていく場合もあります)。
 また,飲酒の上でのトラブルから暴行・傷害をした場合には,アルコール依存症であれば,その治療をしたり,被疑者の飲酒に関する生活態度を改善させたり,被疑者の生活態度を具体的に改善させていく必要があります。傷害事件の中には,反社会性の強い共犯者と事件を起こしてしまう場合もありますが,このような場合には,被疑者が共犯者や反社会性の強い人間との関係を断ち切っていくことが必要になります。

<犯罪事実を認めていない場合(否認事件)>

 暴行罪や傷害罪の否認事件としては,正当防衛を主張する場合がありますが,この主張は簡単には通りません。そのため,下手にこの主張を続けていると,被疑者の反省が足りないとして,検察官の処分が重い処分になってしまうこともありますので,詳しく内容を吟味してから,その主張をするかどうか判断していくことが重要になります。事案によっては,被害者と示談して,不起訴処分を目指した方がいいケースもありますので,早い段階で弁護士に相談しましょう。
 また,否認事件の中には,自分が暴行罪,傷害罪の犯人ではないという主張をする場合(犯人性の否定)もあります。このような場合には,被疑者のアリバイや被疑者が犯人ではないことを示す証拠をかき集めていく必要があります。そのため,早い段階で弁護人を付けて対応することが望まれます。
 さらに,共犯者が多数いる事件では,暴行罪や傷害罪の共謀がないとして,犯罪事実を争う場合もあります。このような場合には,共犯者とのやり取りを精査したり,客観的な状況を防犯カメラなどの証拠でチェックしたりする必要がありますので,早い段階で弁護人を付けて対応すべきでしょう。

暴行・傷害事件のよくあるご質問

 満員電車で相手が押してきたので,お互い殴り合いの喧嘩になってしまいました。相手から先に手を出したので,自分は刑事事件の加害者になりませんよね。

 残念ながら,刑事事件の加害者になってしまう可能性が高いです。
 喧嘩の事案では,お互い相手を殴ってしまえば,両当事者共に刑事事件の加害者,被疑者となってしまいます。もし,このまま何もしなければ,両当事者とも刑事処分を受けることになってしまうので,弁護士を間に入れて,相手と示談交渉することをお勧めします。
 喧嘩の事案では,相手方と示談できれば,最終的に不起訴処分(起訴猶予)になる可能性が高いです。

 深夜に女性をナンパした時に,相手の肩を触ってしまいました。その後,警察から暴行罪で事件化すると言われましたが,裁判になったりしませんよね。

 このケースについては,初犯であれば,公判請求されることはありませんが,略式罰金処分になってしまうことは十分あります。
 罪名としては暴行罪となっていますが,一種の痴漢行為のような扱いになりますので,被害者と示談しないと不起訴処分(起訴猶予)にならない可能性が十分あります。

 相手を殴って怪我を負わせてしまいました。相手方からは,非常に高い金額を慰謝料として支払うように請求されています。どうしたらいいですか。

 暴行事件,傷害事件では,事件の時にお互い連絡先を交換して,当事者で示談交渉することが稀にあります。ただ,このような場合,加害者側は一方的に被害者側の要求を呑まざるを得ない状況になってしまうことがよくあります。
 本件のように,被害者と直接交渉できる場合であっても,弁護士を弁護人に付けて,被害者側と対応した方がいいと思います。慰謝料の金額を適正な金額にできますし,弁護士がきちんとした示談書を作成するので,後々のトラブルを回避できることにもなります。 

暴行・傷害事件の解決実績,お客様の声

被疑者が2件の傷害事件を起こした事件で,2件とも不起訴処分を獲得した事例

 銀行に勤める被疑者が酒に酔った勢いでその場にいた2名の被害者に怪我を負わせた傷害事件で,弁護士は検察官の勾留請求があった直後に弁護人として付きました。弁護士は,すぐに東京地方裁判所の裁判官に対して,被疑者を釈放するように求める意見書を作成し,受任した翌日に裁判所に提出した結果,被疑者は,逮捕されて数日で釈放されました。
 その後,弁護士が2名の被害者と示談交渉を行い,その結果被害者2名共に示談が成立したことから,検察官は2件とも不起訴処分(起訴猶予)にしました。
 また,この事件では,被疑者の勤務先に事件のことが発覚していましたが,不起訴処分となったため,勤務先からの被疑者に対する処分は何もありませんでした。

傷害事件の被疑者の妻の声

経過報告も丁寧で,安心しました。

 大変お世話になり,ありがとうございました。
 粘り強い交渉をして頂き,又,経過報告も丁寧で迅速だったと思います。心からお礼申し上げます。

傷害事件で,被害者との示談が成立し,刑事事件化されなかった事例

 被疑者が,電車の中で被害者に暴行を加え怪我を負わせた傷害事件で,被害者が警察に被害届を出す前の段階で,当事務所の弁護士が被害者の代理人として付きました。
弁護士は,すぐに被害者との示談交渉をスタートさせていきました。当初,被害者は,怪我の程度が酷く,被疑者を許せないとして被害届を出すと言っていました。弁護士は,被害者に許してもらえるように,何度も粘り強く交渉をし,被害者の要望を聞きながら,治療費や慰謝料等の支払い,被疑者と被疑者の奥さんの手紙による謝罪,被害者が要望する誓約事項の遵守等を約束しました。その結果,被害者は,被疑者と被疑者の奥さんの誠意が伝わったとし,示談に応じてくれました。
示談書において,今後被害届を出さないということを被害者に約束してもらったため,刑事事件化されることなく本件は終了しました。

傷害事件の被疑者の声

示談を成立させていただき,ありがとうございました。

 この度は,示談を成立して頂きまして,本当にありがとうございました。2度とこのような事件は起こしません。
 色々と勉強になったこの
2ヶ月間でした。お会いして,お礼を申し上げたいのですが,先生もお忙しいと思いますので,手紙にて失礼させて頂きます。これからも弁護活動,頑張って下さい。本当にありがとうございました。

暴行事件で,被害者と示談せずに,不起訴処分となった事例

国家資格試験を受験する予定であった被疑者が大学内において被害者に対し暴行を加えたとして暴行罪で検挙された事件において,弁護士が警察段階から弁護人として付きました。
 本件では,被害者側が過度な要求を行ってきたため,最終的に被害者と示談書を取り交わしませんでした。弁護士は,被害者との示談交渉状況を検察官に伝え,被疑者の再犯可能性のなさなどを意見書に記載し,それを提出して検察官に訴えた結果,検察官は,被害者との示談が成立していなかったものの,被疑者を不起訴処分(起訴猶予)としました。
 これにより,被疑者は国家資格試験を受験する上で支障が出る虞がなくなりました。

夫婦間の傷害事件で,勾留請求却下決定を獲得した事例

 被疑者が同居していた配偶者に対して暴行を加え怪我を負わせた傷害事件において,弁護士は被疑者が逮捕された直後に弁護人として付きました。
 弁護士は,弁護人として選任された直後に,警察署において被疑者と接見しましたが,被疑者は興奮状態にあり,警察に対してまともに事件のことを話せていない状況でした。そのため,弁護士が被疑者と何度も接見し,被疑者を精神的に落ち着かせていきました。
 本件では,夫婦間の傷害事件であり,被害者である配偶者の処罰意思も高かったことから,すぐに釈放される見込みは低い状況でしたが,弁護士が被疑者を落ち着かせた上で,裁判官に対して,被疑者の釈放を求める意見書を提出した結果,裁判官は検察官の勾留請求を却下し,被疑者をすぐに釈放してくれました。

傷害事件で,被害者と示談した結果,事件が検察庁に送られなかった事例

 前歴を有する被疑者が路上において被害者を拳で殴り怪我を負わせたとして傷害罪で検挙された事件において,弁護士が被害者側代理人と粘り強く示談交渉した結果,最終的に示談が成立しました。その際,弁護士の要請で,示談書の中に,被害者が被害届を取り下げることを盛り込んだ結果,その後に被害届が取り下げられ,事件が検察庁に送られることはありませんでした。
なお,被疑者は国家資格を有していましたが,事件が検察庁に送られず,前科が付かなかったため,被疑者の国家資格は取り消されませんでした。

傷害事件で,被疑者を早期に釈放し,最終的に不起訴処分を獲得した事例

 被疑者が路上において被害者を拳で殴るなどして全治1ヶ月の怪我を負わせた傷害被疑事件において,被疑者は後日神奈川県警に通常逮捕されました。本件逮捕後,当事務所の弁護士が弁護人として付き,検察官(横浜地方検察庁川崎支部)に対して勾留請求の回避を求める意見書を提出した結果,検察官は被疑者を勾留請求せず,逮捕翌日に釈放しました。
 その後,弁護人は被害者と示談交渉を行い,示談を成立させました。そして,示談書等を添付資料として,弁護人が検察官に対して不起訴処分を求める意見書を提出した結果,検察官は被疑者を不起訴処分(起訴猶予)としました。

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ごあいさつ

代表弁護士:二宮 英人

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