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このページでは,現行犯逮捕の要件や「私人逮捕」の注意点などについて弁護士が解説いたします。
現行犯逮捕とは,現に犯罪を行っている犯人を逮捕状(令状)なくして拘束(逮捕)する手続のことを言います(刑事訴訟法第212条第1項)。逮捕状が不要なため,私人でもできますが,憲法の令状主義の例外に当たるため,刑事訴訟法の要件をしっかりと満たした場合にのみできることになります。
現行犯逮捕は,犯人が犯罪を行っている最中だけでなく,犯罪を行った直後であっても可能ですが,例外的な場面であるため,犯行と時間的・場所的に接着している必要があります。
逮捕の手続として一般的にイメージされる通常逮捕は,警察官が逮捕状を持って自宅等にやってくる逮捕の手続をいいます(刑事訴訟法第199条)。この通常逮捕の場合,裁判官が逮捕の理由と必要性を判断し,これらの要件を満たしていると認めれば,逮捕状が発布されて,警察官が被疑者を逮捕することができます。このように,通常逮捕は,現行犯逮捕と違い,私人が行うことはできず,逮捕状が必要(逮捕の際に,警察官が被疑者に示す)となります。
次に,緊急逮捕は,死刑または無期もしくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うにたりる十分な理由がある場合で,かつ,急速を要する場合に,被疑者を逮捕状(令状)なくして逮捕することをいいます(刑事訴訟法第210条第1項)。緊急逮捕は,現行犯逮捕と同様に,逮捕の際には逮捕状が必要ありませんが,現行犯逮捕と異なり,警察官の逮捕後に,警察官が裁判官の逮捕状を請求し,後に取得する必要があります。
現行犯逮捕が成立するためには,まず,犯罪が行われたこととその犯罪の犯人が明白であることが要件となります。具体的には,逮捕する人がその時点における具体的な状況から客観的に逮捕される人が犯罪を行ったものであり,犯人であることが明らかでないといけません。
ただ,この要件を満たす者は,犯罪の被害者や目撃者だけでなく,通報を受けて犯行現場に駆けつけた警察官なども含まれます。準現行犯逮捕の場合には,刑事訴訟法第212条第2項に記載されている4つの場合に該当すれば,この要件を満たしたものと同じ形になります。
【準現行犯逮捕の場合】
①犯人として追呼されているとき
②贓物または明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき
③身体または被服に犯罪の顕著な証跡があるとき
④誰何されて逃走しようとするとき
現行犯逮捕は,その名前のとおり,犯行を行っている犯人を逮捕するものなので,犯人が犯行の最中,もしくは犯行が終わった直後の状態でなければなりません。
犯行の最中については,犯罪の実行行為を行いつつある場合をいうので,実行の着手があればよく,例えば,ナイフを持って被害者に刺しかかろうとしている状態であれば,殺人罪(殺人未遂罪)の犯行の最中といえることになります。
また,犯行の直後については,時間的に犯行と接着していることとともに,場所的に犯行現場と接着していることも重要になります。具体的な時間や距離が決まっているわけではありませんが,現行犯逮捕を認めた裁判例では,犯行から30分から40分程度経過し,犯行場所から約20メートル離れていたケースで,犯行の直後と判断したものもあります。
準現行犯逮捕とは,現行犯ほどの時間的・場所的接着性はないものの,犯行と時間的・場所的に近接しており,犯行と犯人の結びつきが明白である場合に,逮捕状なしで逮捕することをいいます(刑事訴訟法第212条第2項)。
準現行犯逮捕の場合には,罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合で,刑事訴訟法第212条第2項に記載されている4つの場合に該当することが必要とされます。
【準現行犯逮捕の要件】
①犯人として追呼されているとき
②贓物または明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき
③身体または被服に犯罪の顕著な証跡があるとき
④誰何されて逃走しようとするとき
①は,犯人が被害者から「待て,泥棒」などと叫ばれ,追いかけられているような場面になります。犯罪終了後から継続して追呼されていることが必要ですが,パトカーから犯人を現認し,無線連絡を受けた警察官が犯人を追いかけている状態でも要件を満たします。
②は,犯人が贓物(財産犯における被害品)や兇器を所持していた場合をいい,逮捕の瞬間に,犯人がこれらの物を投げ捨てたとしても要件を満たします。
③は,殺人事件において,犯人の服に大きな血痕がある場合などになります。
④は,警察官などに声をかけられて,犯人が逃げようとしている場面をいい,裁判例では制服警官の姿を見て,犯人が逃げた場合も要件を満たすとされています。
現行犯逮捕は,基本的に犯人を逮捕する必要性が高い場合であるため,警察官ではなく,一般人であっても犯人を逮捕することが認められている(私人逮捕,刑事訴訟法第213条)。例えば,一般人の目撃者が痴漢の現場を現認して,その場から逃げる犯人を追いかけて捕まえた場合は,私人の現行犯逮捕(私人逮捕)として許される。
犯人が現行犯逮捕された場合,まず被疑者は近くの警察署に連行されます。そして,そこで警察官から刑事事件のことについての取り調べを受けることになります。法律で,警察に逮捕されてから48時間以内に検察庁に送らなければならないというルールがあるため,一般的には,逮捕された日の翌日,もしくは翌々日に検察庁に連れていかれます。警察署から検察庁へ移送されたら,その日は検察庁で取調べを受けることになります。この際に,検察官は被疑者に対して勾留請求(その日から10日間の身柄拘束)をするかどうかの判断をします。その後,検察官が勾留請求の判断をした場合には,裁判所に移送され,裁判官の勾留質問を受けることになります。ここで,裁判官が被疑者の勾留を認めると,基本的に10日間身柄拘束されることになります(軽微な事件でなければ,勾留請求された日から数えて20日間拘束されることが一般的です)。
勾留には,検察官が起訴する前の勾留と起訴した後の勾留があり,起訴前に関しては,勾留期間は原則20日間までとなっています。その後,検察官が起訴すれば,勾留は継続され,保釈等により釈放されなければ,身柄拘束は継続していきます。
<被疑者・被告人の身柄拘束期間>
逮捕
↓(最大72時間,48時間以内に検察官に送致する必要あり)
勾留
↓(まずは10日間,軽微な事案でなければ,さらに10日間延長になる)
起訴
↓(最初は2カ月間,その後1か月ごとに更新)
勾留継続
これまでにも出てきたように,勾留はまず10日間の身体拘束となります。事件によっては,10日間で検察官の処分が出ることもありますが,被疑者が逮捕・勾留されるような比較的重大な事件では10日では終わらず,さらに10日間の勾留延長がなされることになります。
勾留延長は,勾留決定の時と同じように,検察官が勾留延長請求を行い,裁判官がそれを判断するという流れで行われます。勾留の理由としては,①被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由,②住居不定,罪証隠滅のおそれ,逃亡のおそれのいずれかがあることが必要とされているため,勾留延長の際にも,これらの点の有無をチェックされます。
ただ,実務においては,これらの要件をそれほど厳格に判断していないため,重大事件ではすぐに勾留される傾向にありますし,勾留延長は勾留の時よりも裁判官がすんなり認めやすい傾向にあります。
<勾留延長になる可能性が高いケース>
・殺人罪や強盗罪などのような重大事件
・犯罪事実を否定している事件
・共犯者がいる事件
・組織的犯罪に関する事件 など
被疑者の逮捕後に,弁護士が正式に弁護人として付けば,警察や検察,裁判所に話をしたり,意見書を提出したりできるようになります。検察官が勾留請求し,これを裁判官が認めれば,最低でも10日間は身柄拘束を受けることになってしまいますが,事件が検察庁に送られた段階で,弁護士が検察官に対して意見書を提出すれば,その時点で被疑者が釈放される可能性が出てきます。もっとも,この意見書はただ弁護士が作成したという点に意味があるわけではなく,様々な証拠も一緒に添付されることによって大きな意味を持ちますので,できるだけ早い段階で弁護人が付くことが重要になります。また,もし検察官が勾留請求をしてきた場合であっても,今度は裁判官に宛てて弁護士が意見書を提出し,被疑者の釈放に努めていきますので,検察官が勾留請求をしたとしても諦める必要はありません。
検察官が勾留請求を行い,その請求を裁判官が認めた場合,被疑者は勾留されることになります。勾留が決まれば,被疑者は一定期間警察署に留置されることになりますが,裁判官の勾留決定に対して準抗告(別の裁判官に再度判断してもらう制度)を行い,それが認められれば,釈放されることになります(もっとも,準抗告が認められる可能性はそれほど高くはありません)。
また,準抗告や勾留延長決定の回避が難しい場合には,早期に不起訴処分を獲得することで,被疑者の身柄釈放を狙うこともあります。被害者のいる犯罪(窃盗罪や傷害罪など)では,弁護士が被害者と示談することで,早期に不起訴処分が出る可能性が高いので,被害者との示談を早期に行うのも一つの手です。
検察官が公判請求(起訴)した場合には,起訴後に保釈請求ができるようになります。この保釈請求が認められれば,被告人は釈放されることになります。
上記の各手続は,しっかりと弁護士が準備をして行う必要があるため,被疑者・被告人を早期に釈放したいと考えるのなら,弁護士にできるだけ早く依頼すべきでしょう。
自分や家族が刑事事件に巻き込まれた際に,「どんな弁護士に相談・依頼するか」ということは,非常に頭を悩ませる問題だと思います。
刑事事件は,民事事件と異なる部分が多く,手続も異なるため,普段から刑事事件を取り扱っていない弁護士に相談・依頼するのはリスクがあるでしょう。そのため,刑事事件に関して相談・依頼する際には,刑事弁護の経験が豊富な弁護士,刑事事件に強い弁護士を弁護人に付けることをお勧めします。
刑事弁護の経験が豊富にある刑事事件に強い弁護士に相談すれば,早い段階で弁護方針が固まり,その先のやるべきことが見えてきます。そうすることによって,安心感が得られ,適切な行動が取れるようになります。そして,警察・検察の処分や裁判所の判決などを有利な方向に導く可能性が上がることになります(逮捕の回避,勾留の阻止,保釈許可,不起訴処分,執行猶予判決など)。
渋谷青山刑事法律事務所は,刑事事件の弁護に特化した弁護士事務所であり,刑事事件の相談実績,解決実績が豊富にあります。刑事事件に巻き込まれた場合には,ぜひ渋谷青山刑事法律事務所に御相談ください。
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代表弁護士:二宮 英人
(東京弁護士会所属)
弁護士登録をして以降,刑事事件・少年事件を専門分野として活動しており,これまでに数百件の刑事事件・少年事件を取り扱っている。刑事事件での無罪判決や少年事件での非行事実なし不処分決定など,刑事事件・少年事件共に多くの解決実績を有する。
また,後進指導にも力を入れており,中央大学法科大学院で実務講師を務める(刑事模擬裁判担当)などの経験を有している。
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