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毀棄・隠匿罪(器物損壊罪等)の弁護

こちらでは,毀棄・隠匿の罪(器物損壊罪,公用文書等毀棄罪,私用文書等毀棄罪,建造物等損壊罪)について解説しております。

毀棄・隠匿罪(器物損壊罪等)について

 毀棄及び隠匿の罪には,公用文書等毀棄罪(刑法第258条),私用文書毀棄罪(刑法第259),建造物等損壊(刑法第260条),器物損壊罪(刑法第261条)があります。いずれの罪も,「毀棄」,「損壊」とは,文書や物の効用を害することをいいます。
 また,私用文書毀棄罪,建造物等損壊罪や器物損壊罪は他人の所有物であることを前提としますが,自己の物であっても,他人に貸したり,差押えを受けたり,担保に付された物は,他人の物と同じく扱われます(刑法第262条)。
 なお,私用文書等毀棄罪や器物損壊罪については,親告罪であり,検察官が起訴するためには被害者の告訴が必要になります。

刑法第258条(公用文書等毀棄)

 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第259条(私用文書等毀棄)

 権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は,5年以下の懲役に処する。

刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)

 他人の建造物又は艦船を損壊した者は,5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する。

刑法第261条(器物損壊等)

 前3条に規定するもののほか,他人の物を損壊し,又は傷害した者は,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第262条(自己の物の損壊等)

 自己の物であっても,差押えを受け,物件を負担し,又は賃貸したものを損壊し,又は傷害したときは,前3条の例による。

具体的な態様

 公用文書毀棄罪は,客体が「公務所の用に供する文書」です。現に公務所に保管されている文書,または,使用の目的で保管している文書が客体となります。そのため,市役所が保管している住民登録届書,警察官が差押えた日記帳などを,破いたり,隠したり,黒塗りしたときは,公用文書毀棄罪が成立することになります。

 私用文書毀棄罪は,客体が「権利又は義務に関する他人の文書」です。契約書が典型的ですが,その他にも,債務証書,小切手なども客体となります。これらの文書を,破いたり,隠したり,黒塗りしたときは,私用文書毀棄罪が成立することになります。

 建造物等損壊罪は,客体が「他人の建造物又は艦船」です。建造物には住居の天井瓦,壁,玄関ドアなどが含まれます。損害の回復の難易などを考慮しますが,これらの建造物の一部を破壊したり,ペンキで大きく落書きしたような場合は,建造物等損壊罪が成立します。

 器物損壊罪は,客体が「前三条に規定するもののほか、他人の物」です。すなわち,家の窓ガラス,店舗の看板,植物等が含まれ,さらに,動物も本罪の客体となります。これらの物を破壊したとき(動物の場合は殺傷させた場合)は,器物損壊罪が成立します。器物損壊罪でいう「損壊」とは物の効用を害することなので,食事の際に出される皿を割るというような行為だけでなく,皿に放尿するなどのその物の価値を貶めるような行為も「損壊」にあたることになります。また,動物については,動物を殺傷させる行為だけでなく,動物を逃がす行為も器物損壊罪に当たります。

弁護のポイント

公用文書等毀棄罪と建造物損壊罪は,私用文書等毀棄罪や器物損壊罪と異なり,親告罪(起訴の要件として,告訴を必要とする犯罪)ではありません。これらの罪で事件化されますと,被害者との示談=不起訴処分ということになりませんので,検察官の判断によって公判請求・略式罰金処分になる可能性が高くなります。そのため,これらの罪で事件化された場合には,犯罪態様や再犯可能性などの点で有利な事情を主張して,検察官を説得していく必要があります。また,建造物損壊罪においては,被害弁償も重要です。

 他方,私用文書毀棄罪と器物損壊罪は親告罪です(刑法第264条)。被害者が捜査機関に対して告訴せず,または,告訴したものの起訴前に取下げた場合には,これらの罪で起訴されることはありません。そのため,事件化されれば,迅速に被害者と接触し,被害弁償や示談交渉を行うのがいいでしょう。このような被害弁償や示談交渉は,専門的な能力を必要としますし,当事者間ではなかなか話が付かないことも多いですので,専門家である弁護士に任せた方がいいでしょう。

 器物損壊罪は,法定刑はそれほど重くありませんが(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金),逮捕される可能性も十分にあり,被害者との示談ができなければ,不起訴処分にならないケースもよくあるので,迅速に対応した方がいいでしょう。

解決実績

 被疑者が酒に酔った勢いで駅事務所に置いてあった機械を壊した器物損壊事件で,被疑者は警視庁に現行犯逮捕されましたが,逮捕直後に弁護士が弁護人として付き,検察官(東京地方検察庁)に対して,勾留請求の回避を求める意見書を提出した結果,被疑者は勾留請求されませんでした。
 その後,弁護士は鉄道会社の担当者と示談交渉を行い,示談が成立したため,検察官は被疑者に対して不起訴処分(起訴猶予)を言い渡しました。

解決実績

 被疑者が酒に酔った勢いで,路上に置いてあったバイクを壊した器物損壊事件で,被疑者は警視庁に現行犯逮捕されましたが,逮捕直後に当事務所の弁護士が弁護人として付き,検察官(東京地方検察庁)に対して,勾留請求の回避を求める意見書を提出した結果,被疑者は勾留請求されませんでした。
その後,弁護士は被害者と示談交渉を行い,示談が成立したため,検察官は被疑者に対して不起訴処分(起訴猶予)を言い渡しました。また,本件では余罪もありましたが,余罪についても,すべての被害者と示談ができました。
 勾留請求されなかったことで,被疑者の拘束期間が2日ほどで済んだため,被疑者は逮捕されたことが勤務先に発覚することはなく,仕事を辞めずにすみました。

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